いただきます
朝、顔を洗いに洗面所へ行くと、シンクの中に活きのよい魚が泳いでた。
聞くと、私に食べさせたいと持って来てくださったらしい。
あ、きょうは湯普請(いぶしん)。用水路の水を止めて、水路の点検整備、掃除、草刈りを地区をあげて行う日だ。
数十年前、まだ区画整理がされてなかった頃の湯普請は、今とは意味合いが少し違って、大人は今年の豊作のための大切な準備の行事、私たち子どもには楽しい水遊びの行事だった。
大小さまざまな田んぼに張り巡らされた水路から水がなくなり、景色がガラッと変わる。
細い水路のどぼんこにでも、大きな鯉や見たことないウナギや小魚がうじゃうじゃたまっている。
早いもの勝ち。バケツとタモをもって田んぼのあぜ道を走り回る。
そんなのどかな一日だった。
この日私に届いた魚は、楕円の模様に赤い斑点、20cmはあるアマゴ。
美しい姿。
さっそく塩焼きにしていただいた。くせのないアマゴらしい味。冬を過ごしたからかしっかり脂がのっていた。
下水道が整備され、昔より水路の水が澄んでいる。洗剤の泡だったりバス◯リンの緑色の水をみることはなくなった。
きれいな水で育ったんだね。
アマゴさん、私のために生きてくれてありがとう。
命をいただきました。