幸せから生まれるもの
友人からDVDを借りた。
ザ・トゥルー・コスト。
大量生産、大量消費。ファストファッションと呼ばれる安価な衣服。なぜこれだけ安く手に入るのか考えてみましょう…という映画。
DVDとともに一冊のリレーノートがついてくる。その感想ノートの先陣を、私がきった。
私が自分の服を自由にえらべるようになった独身時代の30年前からみると、服の値段がずいぶん安くなっている。
その頃、私の服を決め手は素材だった。好きなのはウール。毎年衣替えの時、クリーニングに出し、丁寧にしまう。一夏で虫にくわれ台無しになるからだ。
結婚後サイズを替え作り直してもらって、大切にしているものが何枚もあり、今も着る。
でも今の私は、ファストファッションと呼ばれる低価格の衣料に飛びつくようになってしまった。安いから少々型崩れしても、まぁこんなもんか、ワンシーズン着られればよい…と。
服の値段が、丁寧に扱う基準にもなっていた。
ドキュメンタリーのなかで
「悲しみから生まれる服を着ても幸せになれない」と女性が泣きながら語っている。
劣悪な労働条件でも懸命に働き、使い捨てにされる労働者を知り、自然環境をまるで考えない企業の実態を知った。
今私にできることは、
服を選ぶ基準を、昔の私のものに戻す。
自分で作れるものは手作りする。このふたつ。
友「いいの着てるね」
私「これ、しまむら」
誇らしげに言うことは恥ずかしいことだった。
…と感想ノートに書いた。
「衣」つながりで話すなら、私の参加してる「手しごと会議」の活動は、自分たちの手で「衣」を生み出そうとしている。
棉の種をまいて育てて収穫して染めて、織る。作っている人の顏が、土地が、環境が見える。
携わる仲間はいつも笑顔。
活動を始めて3年目。
私の養生生活とともに始まったこの活動のおかげで、私は心身ともに生き返ることができた。
「喜びから生まれる衣をまとえば幸せになる」
今年も種まきの時期がくる。